2011年9月6日火曜日

“聞く”ということ

先日、「ゲド戦記のⅠ」を久しぶりに読みました。

主人公“ゲド”の初めての師匠、
大魔法使い“オジオン”のセリフに、
「聞こうというなら、黙っていなくてはな。」
というのがあります。
このセリフは、
物語の後半にゲド自身もつぶやきます。

“聞く”という行為は、黙っていなくてはできない。
この基本的なことに、人はいかに苦労することか。

私たちは、相手の話をききながら
既に、「次に何と言おう」と思いめぐらせながら聞いてしまいます。
これでは、相手の言葉や、その思いは聞けません。
これは“聴く”にも通じます。ましてや“傾聴”ともなれば、、、
非常に重たいセリフだと思います。

物語の別のところに
「ことばが発せられるためにはね、」ゲドはゆっくりと言った。「静寂が必要だ、前にも、そして後にも。」
というくだりがあります。
これも言葉を使って仕事をする者にとっては厳しい言葉だと感じます。
明日から、和歌山の田辺市で4日間お仕事をさせていただきます。

(引用:「ゲド戦記Ⅰ『影との戦い』」ル=グウィン/清水真砂子訳,岩波書店)

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